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執筆者の写真YORIKO制作スタッフ

完成披露上映会レポート② 〜チーム東北について〜

更新日:2022年8月3日



2022年7月27日、「短編映画YORIKO-ヨリコ-」完成披露上映会がせんだいメディアテークにて開催されました。


前回のブログ「レポート①」では、舞台挨拶前半「なぜこのテーマで映画をつくったのか、そしてテーマ上難しい役柄を演じた女優3人が何を感じ、この役と向き合ったか」についてお届けしました。


今日は「オール東北でつくった意義とメッセージ」について、後半の舞台挨拶登壇者と共にお伝えしていければと思っています。


TOP写真左から

左から

MC:山口祥未(フリーアナウンサー)

監督 / 脚本:モアンドロン マチュ

助監督:佐々木昭博

主演:小野寺ずる

音楽家:齋藤めぐむ、岡本優子、熊谷育美

*20:00〜の回のみヘアメイク/美術:島香淑が追加メンバーで登壇



*ここからは映画の内容の核に触れています。

視聴前に知りたくない方は、閲覧にご注意ください。

キャストもスタッフも音楽も、「オール東北」というのも大きなテーマだが、なぜ全て「東北」にこだわってつくったのか?という問いから後半は始まりました。


「フランス人だけど日本に来て20年。人生のほぼ半分を日本で過ごしている僕を育ててくれたのは東北だし、今の僕があるのも東北のおかげだから、ここで出会ったクリエイターたちでつくることは僕としては当たり前だった。」と語ったマチュ監督。 

つくり終えた感想を求められると、

「暗いニュースばかりが取り上げられるけれど、そんな時代に皆の強いパッションとチームワークで作品をクリエイトできたこと、そしてメッセージを発信できたことにまず意味があると思う。」と話してくれました。


仙台を中心に照明技師として活躍中、今作では助監督として制作指揮を奮った佐々木さんは、

「オール東北というのはあくまで結果で、企画当初は『この時代に東北から映画作りにチャレンジしたい!』」という純粋な気持ちのみだったそうで、「皆で高みを目指して作り上げた、それが東北のクリエイター達だったということに、これからの可能性を感じています。」と語りました。

ロンドンで特殊メイクやファッションを学び仙台に戻って来たヘアメイクアップアーティストの島香さんは、

「イギリス、東京を経て東北に帰って来たけれど、クリエイティブすることに場所は関係ない。」と断言した上で、「今回マチュに声をかけてもらって、私がずっとしたかったことはこれだったのかもしれない、それがここでできると確信したことが、東北でのスタートにつながりました。」と涙ながらに話していただきました。



また音楽制作のトークでは、鍵盤楽器奏者/アレンジャーの齋藤めぐむさん、ジャズピアニストの岡本優子さん、シンガーソングライターの熊谷育美さんにご登壇いただき、楽曲制作の過程と生み出すことへの苦しみややりがいについて語っていただきました。


エンディング曲と、全ての楽曲アレンジを依頼させていただいた齋藤めぐむさんは、

「制作は一筋縄では行かず、何度も監督とディスカッションをしました。

中でも印象に残っているのは『主人公の弱さ、心細さ』をメロディに乗せて表現して欲しいというオーダーがあった時、映画の内容だけではなく、自分の経験から生まれる音も表現したいと思い、認知症だった祖母を思い浮かべながら作りました。」と齋藤さん。生みの苦しみを経て、3度目に出した曲でようやく監督から「ブラボー!」との言葉をいただいたそうで、「この過程があったからこそ、僕自身も最終的に納得いく音楽にたどり着きました」と話していただきました。

*齋藤めぐむさんインタビューはこちらから


クライマックスシーンのテーマ曲を制作した岡本優子さんは、

「私も齋藤めぐむさんと同じで、何度も監督とディスカッションしました笑」と語り、大変だったことを問われると

「監督のイメージと自分のイメージが合わないことが多々あって、そこを何度も何度も対話を重ねながら埋め合わせをしたことが印象に残っています。でもそのおかげで得たものも大きく、最後に監督から「最高!完璧!」と言われた時は達成感と安堵感で涙が止まりませんでした。」と話していただきました。

*岡本優子さんインタビューはこちらから


劇中挿入歌のクリスマスソングを作詞作曲いただいた熊谷育美さんは、

「依頼されたのはお正月でしたね。まだシナリオ制作中の時期だったと記憶していますが、すでに監督の情熱がすごいわけですよ。その熱量を受けて、私でよければ!と即答させていただきました。」と振り返りました。

「私の場合は撮影前に曲が完成する必要があり、すでに1ヶ月後に撮影日が決まっていたんです笑。なかなか痺れるスケジュールでしたが完成した作品を今日スクリーンで観て、本当に感無量でしたし、『チーム東北』が結集されたこの作品に関わることができて本当に光栄でした。」と話していただきました。

*熊谷育美さんインタビューはこちらから


監督のこだわりがすごかったようですねと問われると、マチュ監督は「そう?」と佐々木助監督にマイクを渡します。

「撮影中も楽曲制作中も、皆がこれでいいんじゃないかと思った時に、マチュが『いや、もうちょっといきたい!』と攻めるんですね。でもそのラインを皆で超えていけたことで全体のベースが上がったと確信しましたし、次何かやる時の"基準"のようなものが見えて、やりやすくなった気さえします。」とすかさずフォロー。

企画当初から何十回、何百回とディスカッションしていた二人だけに、互いの気持ちが手に取るように分かるのでしょう、本当にナイスコンビなのです。


自身は宮城県気仙沼市生まれ、現在は東京で活躍中の主演の小野寺さんは、

「東北というと(私も実家が被災しましたが)、震災の方にテーマが行きがちですが、今回 YORIKO を通じて『生まれ、老いていくこと』に対する人類共通の不変的テーマを表現できたことは、震災もコロナも経験した東北から『世界へ』発信する作品としてすごく意味があったと思っています。」と話し、また「認知症も自分には関係のないことではなく、誰もが身近なこと、自分ごととして関心を持ってもらいたいし、人を思いやる優しい世界が広がればと願っています。」と語っていただきました。



最後にYORIKOを通じてどんなメッセージを伝えたいかと問われた監督のマチュさんは、

「当たり前だけど人生は短いです。(震災もコロナも経験した東北の人はより感じていると思いますが)人生は本当にいつ何が起こるか分からないから、生きている間に好きな人を大切にしてほしいと思っています。

今日映画館を出た後、みんなが好きな人に連絡したり会いに行ってもらえたら最高にうれしいです。」と語り、会場が温かい雰囲気で包まれました。



短編映画「YORIKO-ヨリコ-」上映会レポート②はこの辺で。

次回は今作に協賛いただき、認知症というテーマに対してアドバイザーとしても関わっていただきました、清山会医療福祉グループさまについてレポートができればと思っています。 それでは!


<写真:窪田隼人>

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