短編映画「YORIKO-ヨリコ 」制作の構想段階から「作品としてもカメラマンとしても次のステップに進みたい!」と、マチュ監督が熱望していたのが「Cooke(クック)社」のシネレンズを使うことでした。
クック社は100年以上にわたってシネレンズを作り続けているイギリスの老舗レンズメーカーで、同社のシネレンズは、シャープでありながらどこかやわらかく温かみのある独特な描写が特長で、これまで数々の著名な作品に採用されてきました。
クックのレンズには他社にはない独特の雰囲気を生み出す力があり、いつしかそのトーンは「Cooke Look(クックルック)」と呼ばれるようになりました。
とメーカーページの説明にもあるように、世界の著名な映画でも使用されている、歴史と実績のあるシネレンズを、今回の映画では4本レンタルさせていただきました。
*レンタルしたレンズはこちら
Cooke S-4 / i 25mm、35mm、50mm、75mm
ところでみなさん(下世話だとは思いつつ)このレンズ、今回はレンタルでしたが、購入したら1本いくらくらいすると思いますか?
正解は、
1本約 2 0 0 万円!
つまりこの現場に 8 0 0 万円が鎮座していた!
ということになるのですね。
興味本位で触ってみようとした私は、値段を聞いた瞬間「すん」と腰が引けましたが、反面撮影チームはそのレンズが映し出す画の美しさに感嘆の声を上げ、まるで子供のように目を輝かせてモニターに見入る姿に、私の枯渇しかけていた母性は疼き出し、愛おしさを感じずにはいられませんでした。(何目線)
やはり好きなことに純粋に取り組む姿って、人の心を動かすものですね。
さて、撮影中のエピソードなどはまた次回以降のブログに綴るとして、撮影後、監督のマチュさん(写真左)に改めて今回の作品にCookeレンズを採用し使用した感想を伺ってみたところ、
『やっぱりCookeやばいね!最高すぎる!!!
…………………………………………………………ん?何?』
と、テンションは伝わるけど、説得力がイマハチ、という回答だったので、
頼れる助監督の佐々木さん(写真右)に同じ質問をしてみたところ、
『一般的に言われているようにCookeの魅力ってシャープなのに柔らかい、暖かみのあるルックとカラーバランスの素晴らしさだと思っています。
今回の作品のテーマ(ネタバレになるので詳細は言いませんが)において、シャープさの中に暖かみがあることは、とても重要な意味を持ったなと思います。
結末を知らずに観ていたら、ともすればホラーになりかねないですが、きっちり丸い感じを残していて、スキントーンもリアルに残してくれるので、表情や顔での演技もわかりやすく、観ていてSFにならないというか、自分と同じ世界の目線で観られると思います。
また、優れたカラー再現性も今回採用した大きな理由になっていて、マチュの作品で「色」というのは重要なアイデンティティになると思うので、それを繊細に表現出来たことは最高でした。
そしてこれは照明部としても意識していたところで、様々なカラーを使って(これは照明に限らず美術においても)感情や物語の意味を表現できたと思いますが、"Cooke Look"はそれを忠実に反映させてくれたと思います。』
と、こちらが求めていた以上の素晴らしいコメントが返ってきました。(佐々木さんありがとうございます!)
口数少なくインスピレーション派の監督の意図を、バランサーの助監督が瞬時に汲み取り翻訳する、この絶妙なバランスがこのチームをうまく回している秘訣?なのかもしれないですね。
シネレンズ業界をリードし、世界のユーザーから賞賛される「Cooke Look」。
今作「YORIKO」では、どのような表現を魅せ、どんな感情を刺激してくれるのか、撮影が終わったばかりですが、完成が楽しみでなりません。
次のブログもお楽しみに!
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